保護期間が切れているかを、自分で数える
「死後70年」だけを覚えていると間違えます。期間が延びる前に切れていたものは、延長で戻らないからです。
古い写真や文章を扱うとき、保護期間が満了しているかどうかの判断が要ります。満了していれば自由に使えますが、していなければ許諾なしには使えません。この判断を、都度たどれる手順にしてあります。
覚えているだけでは足りない部分
日本の著作権の保護期間は、原則として著作者の死後70年です。ただし、この「70年」になったのは2018年12月30日からで、それ以前は50年でした。
重要なのは、この延長が、すでに満了していた保護を復活させていないことです。切り替えの時点で50年が経過して満了していた著作物は、そのまま満了したままです。逆に、切り替えの時点でまだ50年に達していなかったものは、70年まで延びました。
つまり、判断の順序はこうなります。まず古い50年の基準で計算し、切り替えの前に満了していたかどうかを見る。満了していれば、そこで終わりです。満了していなければ、70年で計算し直します。
この順序を飛ばすと、どうなるか
実際に間違えました。当方の別の制作記録に、1964年に亡くなった著者について「死後70年なので2030年代まで保護される」と書かれている箇所があります。
しかし50年で数えると、この著者の保護は2010年代の前半に満了しています。満了したのは切り替えより前なので、延長では戻りません。新しい期間だけを当てはめた結果、すでに自由に使えるものを、使えないと判断していたことになります。
この向きの誤りは、権利侵害にはなりません。使わなかっただけだからです。しかし使えるはずの資料を諦めていたわけで、判断としては損をしています。逆向きに間違えれば侵害になります。どちらにしても、順序を守るほうが安全です。
この誤りは、この記事を書くために自分の記録を読み直して見つけました。書くために調べ直すと、過去の判断の粗が出ます。
数えるときの注意
- 起算は没年の翌年から。 没年そのものからではありません
- 期間は年末まで。 満了日は年の途中ではなく、その年の12月31日です
- 著作者が誰かを先に決める。 写真なら撮影者、文章なら執筆者。編集された資料では、収録物ごとに著作者が違うことがあります
- 共同著作なら、最後に亡くなった人を基準にする
満了していても、自由とは限らない
ここが最も誤解しやすい点です。保護期間が満了していることと、手元にある複製物を自由に使えることは、別の話です。
所蔵している機関が、デジタル化した画像の利用について独自の条件を設けていることがあります。原著作物が満了していても、その機関のサイトから取得した画像には、その機関の規約が及ぶという整理をしている場合があります。この点は機関ごとに考え方が違うので、取得元のページに書かれている条件を読む必要があります。
当サイトが写真を扱うときは、保護期間の判断と、取得元の条件の確認を、別々に記録しています。片方だけ確認して済ませると、あとからどちらを見たのか分からなくなるためです。
最後に
ここに書いたのは、当サイトが判断に使っている手順であって、法律の解説ではありません。運営しているのは個人で、法律の専門家ではありません。判断に迷う場合や、重要な用途で使う場合は、公式の解説や専門家に当たってください。
そのうえで、手順を決めておく意味はあります。毎回ゼロから考えると、そのときの気分で結論が変わります。順序を固定しておけば、少なくとも一貫した判断ができ、あとから見直すこともできます。
この記事の元
この記事は、スポット写真の選定と、方言辞典の出典の扱いで実際に起きたことから書き起こしています。 一般論としての資料解説ではなく、この運営で当たった範囲のことだけを書いています。